桜の約束
密かに、母さんや父さんにシスコンから進化を遂げてロリコンになるなよ、と言われている。
失礼な。
分別ぐらいついてるさ。
「守?」
「………はっ!ぼけっとしてた」
じっとりとした視線を向けられて、現実に戻る。
「まったく。守が開けてくれないと、お客さんであるオレは入れないじゃないか」
ふわふわと、十夜特有の笑い方をしながら、扉を指差して催促する。
はいはい、と適当な返事を返しながら茶色いチョコレートみたいな扉を開いた。
トタタタタ……
軽い足音が廊下を駆けて、小学校六年なのにまだ身長が小さい妹、心優が姿を見せた。
「お帰り!まもにぃ…あれ?お客さん?」
久しぶりに連れてきた友達に、心優は眉根を寄せた。