桜の約束
そう、あれは桜が事故に遭う数日前のこと。
約束を交わしたよね。
覚えてねぇか。
そりゃそうだわな。
記憶がねぇんだもん。
口が悪い?
我慢してくれ。
事故のこと思い出すと、自分が本当にダメなやつになった気がして…自分に苛立つんだよ。
それを周りに当たるなんて最低だよな…わかってる。
でも、押さえられないんだ。
桜の木の下。
そこは、よく俺と桜が会う場所だった。
あの日、桜はすごくすごく悲しそうな顔をしてた。
理由は、簡単。
桜の父さんが転勤するらしく、自分も引っ越さなければならないと言うことだった。
今まで転勤なんてしたことがないから、不安がる父親を家族皆で支えよう、と言うことらしい。