桜の約束




私には、守と過ごした昔がない。



なのに、昔から。


前から。


好きだと思える。



何でなの?



私、あなたが好きなの。



あなたは、私を好きだと言う。



泣きながら、私のことを好きだと言う。



でも、返事はいらないのだと言う。



かと思えば、好きなのは私であって私ではないって言う。



わかんないよ…自分のことも、他人のことも。



…好きって気持ちだけが、開いた扉の隙間から漏れ出して、だけど肝心の記憶が戻らないよ。



< 176 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop