桜の約束
「あれ、桜?」
十夜の家に向かう途中、見かけたのは亜美だった。
「亜美!」
「…あんた、守とデートじゃなかったっけ?」
怪訝そうな顔をして、亜美が首を捻る。
「…うん、そうなんだけどね…少し早く帰って来たの」
「あぁ、なるほどね。で、十夜の家に?」
「聞きたいこと、あって…」
「そうなのね。あたしは、十夜にお呼びだし…っていうのは冗談で、今日は喋ろうかぁと思ったんだけど、あたしの部屋はごちゃごちゃしてるからさー」
なるほど。だから、十夜の家なのね。
「あ、あたしいても大丈夫?
嫌なら帰るよ」
「ううん。大丈夫だよ。
亜美にも、聞きたいことあるから」
「そっか。なら、一緒に行こう」