桜の約束




「さて、じゃあ話してごらん」



「…うん。

私、守が好きだと気付いたの」



「気付いた?

…でも桜、桜の顔は思い出した、って言ってるみたいだけどねぇ?」



わざと、思い出したではなく気付いたという言葉を使ったのに、十夜にはまるで効果がなかった。



私の思っていることを、的確に当ててくる。



「…うん…」



「…どこまで、思い出したの?」



亜美が、隣から話しかけて来た。



「好きだって、ことだけ」



「そう…」



「でね、教えて欲しいの」



「ん?何を?」



「これは、本当に私の感情?」



< 181 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop