桜の約束
「別として…?」
「そう。別として。
記憶のある桜なら、とか。
記憶のある桜は、とか。
そういう、君を傷つけないための言葉を飲み込んで、飲み込みすぎて、わけがわからなくなってるんだ。
君は君。桜は、桜本人でしかないのに、一緒くたにするのが嫌だったから別として考えすぎて、約束も記憶のある君としか果たせないと思ってるんだよ」
…確かに、守に記憶のある桜は記憶のある桜なら、なんて言われたら私は嫌になってたかもしれない。
守は、私を私として初めましてから始めようとしてくれていた。
時折、記憶のある桜は、というのを出しかけていたけど、言った後は罪悪感たっぷりの顔をしていた。
ならば…。
私は、思い込みすぎて本当に別人になってしまった?
守の中で。