桜の約束




だって、私が来ないってわかっていてもそこにいたのでしょう?



ならば、あなたの中に私はいないんじゃない。



あなたの中には、誰もいない…。



来るはずのない‘‘桜”をただ待ち続けてる。



「桜。

記憶は、戻りそう?」



亜美が、ためらいがちに聞いてくる。



「…記憶のない私では、何もできない?

記憶のない私じゃダメだって、亜美も言うの…?」



誰もが、私の記憶が戻ることを望んでる。



望んでくれてるのではあると思う。



全てが元通りになることを、皆望んでいるの。



「まだ、わからない…」



「ねぇ、あたし残酷なこと言ってもいい?」



亜美。


あなたどうしたの。



「桜、早く…記憶を取り戻して。


守はね、ずっとずっと待ってるの。狂ってるように。


良く言って、それは一途。

だけど、悪く行ってそれは、ただの狂気地味た愛だよ…」



「桜、この部屋から桜の木が微妙に見えるよ。
守、ずっといるの」



もう、何を言ってるかわからなかった。


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