桜の約束
十夜と一緒に階段を登り、一番奥の部屋に向かう。
「…何やってんだ?十夜」
「え?いやぁ、この前来た時は守、こっちの部屋じゃなかった?」
俺の部屋の隣、心優の部屋の扉を指差して聞いてくる。
「あぁ、前はな。心優がそっちの部屋から見える景色が好きだから、代わったんだよ」
「なるほどねぇ。優しいまもにぃは妹のために部屋を代わったわけだね」
「優しい…っつうか、別にその部屋じゃないとダメってわけじゃないからな」
「ふぅん。なるほどね、まぁいいや。早く守の部屋に入ろう」
「あぁ」
扉を開いて、十夜を先に入れる。
あまり物を置いていない俺の部屋は、シンプルだ。
黒と白のモノクロで家具は揃えてある。
ただ、少し…
「相変わらず、片付けは下手だねぇ」
教科書の散乱した机を眺めて、十夜が一言。
「……」
片付けが苦手だからこそ、あまり物を置かないようにしてる。