桜の約束
「じゃあもう、止めないよ」
2人が頷くのを見て、私は目を閉じた。
ほんの少し、
少しだけ、
戻ってきた記憶が、私の脳裏に蘇る。
それは、守の笑顔だった。
あなたの笑顔を見たいよ…。
それ以外、まだ何も思い出せないけど。
「今日?行くの?」
私が、じゃあ早速と出て行こうとするのを、驚いた顔で十夜が止める。
「あ、さすがに今日は不自然?」
「まぁ、それなりに…?」
「じゃあ、明日にするよ」
そんな簡単に決めていいの?
いいの。
これからすることは、長い長い嘘なんだから。