桜の約束
一通り、十夜の嫌がらせのような片付けをさせられ、机の上がある程度片付いてようやく終了する。
「はぁ…」
深々とため息を付くが、十夜の方をちらりと見れば笑をこらえるように肩を震わせていた。
思わずイラっとして、文句を言うために口を開く。
「とお「あ、そうそう。守、結局携帯の電話は誰なの?」」
文句を遮られ、それ以上話すことができなかった。
それに、忘れていたが電話をかけて来た人物が気になる。
十夜に言われ、部屋に入って来た時にベッドに置いた携帯を手に取った。
画面下の方にある、丸いボタンを押す。
カチっと軽い音がして、画面が点く。
『着信一件:桜』
「え。いや、え?」
思わず二度見。
それは、待ち焦がれていた人からだった。
でも、決してくることはないと分かり切っている。