桜の約束


「その顔は…もしかして、桜から、とか?」



にこにこと、全てを見透かしてるように笑う。



「なんで、わかるんだよ。なんで、このタイミングなんだよ。なんで…なんでなんで」



「さぁ?そんなことは知らないよ。
守、かけてあげないの?」



「言われなくても、かけるよ…」



携帯を操作して、桜の携帯の番号を出す。



なかなか勇気が出なくて、ボタンを押せない。



「押さないの?」



携帯の画面を覗き込んだ十夜が、固まった俺を見る。



「お、押すよ…」



「うん」



ポチ。



間抜けな音がして、電話をかけてしまう。



いや、かけなくちゃいけないんだけど。



耳に当てると、プルプルと電話をかける時特有の音がした。



< 22 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop