桜の約束
『…いいんですか?初めましてからで』
桜の声は、感動しているような。
喜んでいるような声だった。
「友達で構わない。
最初からで構わない。
だから、そばにいさせてください」
初対面じゃないけど、初対面。
そこから、始めよう。
この瞬間から。
俺は、ほんの少し考え方を変える。
いつまでも待つ。
それも嘘じゃない。
桜の下で待っている。
でも、待っている間に誰かに奪われることがあってはいけない。
『じゃあ、…よろしくお願いします』
携帯の向こう側で、桜が笑った気がした。