桜の約束
振り向くと、十夜がニヤニヤと笑っていた。
「十夜。とりあえず、そのベットの下に小さい机あるから、出してくれるか?」
盆をそのまま床に置いても構わないのだが、コップに入ったジュースを蹴飛ばさないとも限らない。
「うん、いいよ」
ベットの方に移動して、下から小さい机を取り出し、足を開いて床に置く。
その上に盆を乗せると、十夜が待ってました、とばかりに口を開いた。
「さてと、守。初めましてから、って言うのはどう言うことかなぁ?」
聞かれると思ったことだった。
十夜の質問に答える前に、緊張して乾いた喉にジュースを入れる。
いつまでも子供ではないのだが、母さんはなぜか柑橘系のジュースを出す。
…子供の頃、オレンジジュースばっか飲んでたのがいけないのか?
まぁ、そんな愚痴は置いておいて。
俺が話し始めるのを待っている十夜の質問に答えるべく、話す。
「…だってさ、今のまま待ってても何も変わんねぇし…。
っつか、あれ口走った時に俺が考えたこと、あんまり覚えてない。だから、聞かれても困る」
「ふーん?まぁ、いいけどねぇ」
いいんだったら聞くな。
そう、イラっとしてしまった。