桜の約束
初めまして
___ピピピ…
黒くて四角い目覚まし時計が、俺の目覚める時間を指して音が鳴る。
いつも通りの時間、午前7時。
叩くようにして目覚まし時計を止め、あくびを漏らしながら上体を起こした。
「ふぁぁぁぁぁぁー…」
「まもにぃ、うるさい!」
眠りの浅い妹は、あくびの声でさえうるさかったようで、隣の壁からそんな声が聞こえる。
寝起きは不機嫌なのだ。
「ごめん」
素直に謝って、ベッドから降りる。
Tシャツをめくり上げてお腹を掻きながら、今日着る服を適当に引っ張り出して着替える。
脱いだ寝巻きをぐるぐると丸めて右腕で持ち、下へ降りた。
「おはよ、守」
母さんが、階段の下から顔を出す。
「うん、おはよ」
「心優は?」
「…あー…寝てた」
多分、俺に文句を言った後もう一度寝ただろうから、そう伝える。
「あらそう。起こしてきて…って、無理そうね」
母さんが起こしてきてと言った瞬間に顔を顰め、思いっきり拒否したのが伝わったのか、やれやれと言いながら首を振り、台所の方へ歩いて行った。