桜の約束
母さんの後を追いかけるようにしてリビングに行くと、朝食の準備がされていた。
当たり前だけど贅沢なそのことに感謝しながら席について、手を合わせる。
我が家は全員揃ってご飯を食べるのは夜と決まっているので、朝はそれぞれ起きた時に食べる。
朝から贅沢に味噌汁で喉を潤して、焼いた鮭に醤油を垂らして食べる。
白いご飯を食べて、彩りに添えられた野菜を飲み込む。
「ご馳走様でした」
「はい。
あ、守、今日も桜の下に行くの?」
俺の食べた食事ののっていた皿を片付けながら、今日の予定を聞いてくる。
「そのつもり」
「そう。気を付けてね」
俺がほぼ毎日桜の下に行っていることは母さんも知っている。
少しだけ、心配そうな顔をしたが、すぐに笑顔を作って俺を送り出してくれる。
「いってらっしゃい」
「いってきます」
玄関を出て、歩き始めた。