桜の約束




母さんの後を追いかけるようにしてリビングに行くと、朝食の準備がされていた。



当たり前だけど贅沢なそのことに感謝しながら席について、手を合わせる。

我が家は全員揃ってご飯を食べるのは夜と決まっているので、朝はそれぞれ起きた時に食べる。



朝から贅沢に味噌汁で喉を潤して、焼いた鮭に醤油を垂らして食べる。



白いご飯を食べて、彩りに添えられた野菜を飲み込む。



「ご馳走様でした」



「はい。
あ、守、今日も桜の下に行くの?」



俺の食べた食事ののっていた皿を片付けながら、今日の予定を聞いてくる。



「そのつもり」



「そう。気を付けてね」



俺がほぼ毎日桜の下に行っていることは母さんも知っている。



少しだけ、心配そうな顔をしたが、すぐに笑顔を作って俺を送り出してくれる。



「いってらっしゃい」



「いってきます」



玄関を出て、歩き始めた。



< 34 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop