桜の約束



考えても、わからなかった。



当然だよね。



私はあの人じゃ無いから。



日記を、閉じた。



視線を桜の木に向ける。



桜の木の下で、野上くんは変わらずそこにいた。



なんでか分からないのに、悲しくなった。



いつまで、そこにいるの。



彼は、雨の日もいる。



何をしているの。



何も覚えていない、何の関係も無い私にはそれを聞くことができない。


そんな権利は無い様に思った。



日記の中の、野上くんと付き合っている私なら。



彼がそこにいる理由はわかっただろうか。



一言しか書かれていない私の日記は不完全で、感情が多かった。

















‘‘桜の木”

‘‘約束”

















ふと、そんな言葉が頭をよぎった。



なんでなのかわからない。



けれど、私の記憶にとても関わりのある言葉に思えた。



< 55 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop