桜の約束



2人は、黙って私の話を聞いていてくれた。



「思い出したい、って思わないなら思い出さなくてもいいかもしれない。けどねぇ、桜。
桜が思い出してくれることを、ずっとずっと待ってる人もいるんだよ」



「…それは…誰?
十夜?亜美?」



「いや、もちろんあたしたちだって待ってるよ?中1の時、遊びに行ったこと。
中2の時、旅行に行ったこと。
共有したい思い出がたくさんあるもん。だから、思い出して欲しい」



「うん。
でもねぇ、1番望んでいるのはオレ達じゃあないよ」



「…じゃあ…誰よ…」



教えて欲しいのに、まったく教える気の無い2人。



軽く睨みつけて、ため息を吐いた。



まったく、誰か分からない。



「桜」



「何?」



十夜が、机の上に放置してある携帯を私に持たせた。



「発信履歴と、着信履歴。
どっちでもいいけど、見てごらん」



私がこの携帯を使い出したのは…中1から。

で、私はあまり携帯を使わないから履歴は多分その時のがずっと残ってる。



< 58 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop