桜の約束
小さくしゃがみ込む。
いつまでもしゃがみ込んでいちゃダメだと自分を叱咤して立ち上がった。
携帯を握りしめて部屋を出る。
「桜?どこに行くの?」
お母さんが驚いたような顔をしてこっちを見た。
私が外出することはあまりないから、驚くのも無理はないよね。
「ちょっと、桜の下に行ってくる」
「わかったわ。気を付けてね?」
心配そうな顔をするお母さん。
私が外出しなくなったのには訳があって、それはお母さんだった。
事故を起こした時、お母さんがどれだけ心配したか知っているから、極力外出を控えるようにしてる。
それに…出かける時、とても心配そうなの。
「うん」
「早く、帰っておいで」
「はい。行って来ます」
心配させないように微笑んで、家を出た。