桜の約束
あなたは優しくて、私のために無理をしているのかもしれない。
私が記憶をなくし、ただの他人のように接することを、とても悲しく思っているのかもしれない。
でも、私は今。
あなたに甘え、あなたの考えで動く。
始めからにしたところで、私はあなたを思い出さないかもしれない。
それでも、優しくしてくれるあなたに、私は助けを求めて手を伸ばす。
「初めまして
私は淡井 桜。
私の方こそ、よろしくね」
助けを求めるように、私は手を伸ばした。
野上くんは、私よりも大きい手でぎゅっと握りしめてくれた。