桜の約束
「亜美」
待ち合わせ場所は、桜が事故に巻き込まれるまでは桜の木だったけど、今は守の特等席だからあたしの家と十夜の家の真ん中にある、村田というおばあさんの住んでいるお家の前。
『村田のおばさん』と呼ばれるその人は、あたしたちに馴染みのある大人で、時々こうして待ち合わせ場所に使う。
村田のおばさんはあたし達ににこにこと笑いかけるだけで、特に注意されたことはないからいいハズ。
とか言いつつ、村田のおばさんとあたし達は仲良いから許してもらえてる。
ちなみに、仲良くなったのは十夜だったりね…。
うん、ちゃっかりしてるよ。
「あーみー!」
ということで、あたしは今村田家の前ね。
桜に会いに行く、というのは定期的に行ってるけど、具体的になにするかは決めてないから、今日も桜と何を話すかはわからない。
「あみ!」
「…聞こえてるよ。うるさいなぁ」
さっきからうるさい、十夜。
まぁ、十夜もあたしと桜の幼馴染。
あたしと十夜は何気に一緒にいることが多い。
今までもずっと一緒にいたから、十夜や桜と一緒にいると安心する。
「聞こえてるなら、返事してくれるといいんだけどねぇ。それは、無理なの?」