桜の約束



「…亜美、早く行きなよ。桜待ってるだろうし」



顔を曇らせたあたしに、守は桜の家を指差した。



「うん、そーする」



これ以上ここにいても、することないし。


…いや、好きな人のそばだからずっといたい、けどさ…。



「あれ、十夜は守と話さないの?」



遠くにいるままの十夜に気づいて、後ろの方にいる十夜を見るけど、十夜は嘘っぽい笑顔で微笑んでそこに立っていた。



「また、通った時に話そうかなぁ、守」



「…だな」



男同士、何かあるのかよくわかんないけど、二人は二人で後で話すらしい。



なら、今特に気にする必要はないか。



「じゃ、守。また後でね」


「あぁ」



守と別れ、桜の家に向かった。




< 88 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop