桜の約束
「…亜美、早く行きなよ。桜待ってるだろうし」
顔を曇らせたあたしに、守は桜の家を指差した。
「うん、そーする」
これ以上ここにいても、することないし。
…いや、好きな人のそばだからずっといたい、けどさ…。
「あれ、十夜は守と話さないの?」
遠くにいるままの十夜に気づいて、後ろの方にいる十夜を見るけど、十夜は嘘っぽい笑顔で微笑んでそこに立っていた。
「また、通った時に話そうかなぁ、守」
「…だな」
男同士、何かあるのかよくわかんないけど、二人は二人で後で話すらしい。
なら、今特に気にする必要はないか。
「じゃ、守。また後でね」
「あぁ」
守と別れ、桜の家に向かった。