桜の約束
ピーンコーン…♪
桜の家のインターホンを鳴らした。
高めの音が鳴って、訪問者を知らせるインターホン。
んー?なかなか出てこない。
いつもはもう少し早いんだけどな。
「…もう一回、押してみる?」
おずおずと、十夜にお伺いを立ててみる。
「いや、多分もうすぐててくると思うよ」
プツッ…ン…
十夜の宣言通り、向こうで何かが切れたような、繋がったような音がしてインターホンが室内の音を外に伝え出す。
『はぁーい。んん?あぁ、2人とも〜いらっしゃーい』
インターホンは、向こう側からこちら側が見えるから、桜のお母さんはあたしたちをカメラ越しに確認してから出てきた。
「いらっしゃい、2人とも。
桜は上の階よ」
いつも通り、桜によく似た顔をした優しそうなお母さんが快活な笑顔であたしたちを招き入れる。
桜のお母さんの手招き通りに室内に入って、いつも通りに桜の部屋へ向かった。
あたしたちは幼馴染だから、よく互いの家を行き来する。
だから、勝手知ったるというかなんというか。
遠慮なくズカズカ上がり込んで、ノックもなしに桜の部屋に入った。