桜の約束





少しだけ考えた末に、あたしは十夜の代わりに口を開く。



「いや、もちろんあたしたちだって待ってるよ?中1の時、遊びに行ったこと。
中2の時、旅行に行ったこと。
共有したい思い出がたくさんあるもん。だから、思い出して欲しい」



あたしだって、思い出して欲しいんだよ。


「うん。
でもねぇ、1番望んでいるのはオレ達じゃあないよ」



後の言葉を引き継いでくれたのは、十夜。



うんうん。



1番望んでるのは、あたしと十夜じゃないんだよね。



「…じゃあ…誰よ…」



恨めしげに鋭い視線を向けてくる。



答えた方がいい?



それも、考えさせるべき?



それも含めて、思い出して上げたら守は喜ぶと思う。


だけど、流石にそこも教えないのは鬼だよね…。



どーすべき?



「桜」



考えてる間に、十夜が話しかける。



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