桜の約束
「…うん…わかった」
桜は、ぼんやりと携帯を見つめながら返事した。
ちゃんとわかってるかな?
「電話してあげたら、きっと守喜ぶよ」
携帯を握りしめる桜と、桜の下にいる守が視界に入った。
遠くて、近いその距離にいる2人を繋げる何か。
それが必要な気がした。
あたしは、守が好きだから嫉妬しちゃうけどさ、でもやっぱり桜の笑顔は好きだし。
笑っていて欲しいんだよね。
それに、なんていうかな…桜と守って隣に並ぶとお似合いだったり、ね。
…でも、ほんの少し…ずるいよあたし。
桜が記憶を取り戻さなければ、あたしは守のそばにいて、桜は守を見ないって思ってる。
誰にも言わないあたしの本音…かな。
わかんないや。
さっき十夜に桜の記憶戻って欲しいか聞かれた時は、こんなこと思わなかったのに。