体育館12:25~それぞれのみる景色~
気がつけば時計の針は電話し始めた時間からかなり進み、朝は間近に迫っていた。
実家が花屋の慶と受験勉強のため早く起床する恭也の、最近の起床時間は大体同じくらい。
小一時間後にはもう起きなければいけないことを、時計は無情にも指し示す。
『やべ、もうこんな時間かよ。やべえ』
「だな……。さすがに俺も眠い。つーか、慶が喋り過ぎるからこんな時間になったんだろ」
自分だって割と乗り気で話していたくせに、恭也は悪いのは慶だと吐き出す。
少しばかり頭の弱い慶は自分の所為にされたことにも気づかず、素直に謝罪を述べるのだが。
『わりーな。一時間くらいしかねーけど、お互い少しは寝た方がいいだろ。切って寝るか』
珍しくまともなことを言う慶に賛同した恭也。
正直少しでも寝ておかないと授業もキツイ。
今から寝てちゃんと起きられるのか不安は付きまとうが、今更襲ってきた睡眠欲にあらがえるはずもない。
それは恭也も慶も同じだった。