体育館12:25~それぞれのみる景色~
―――青い空、白い雲。
遠くでカモメが鳴いている。
電車に揺られて1時間と少し。
俺たちは白い砂浜の上、きらきら輝く青い海の目の前にいる。
「海だー! やっと着いたねっ」
「そうだな」
はしゃぐ彼女の隣りで、大きく伸びをする。
その姿を見て、前から楽しみにしていたんだろうことが見て取れて、俺と同じ気持ちなんだと知り、嬉しくなる。
混雑していた窮屈な電車の中、小柄な彼女が周りに押し潰されないようにと庇っていた。
だからか、身体のあちこちがキシキシと痛んだ。
移動だけで疲労を感じていた。
でも、喜ぶ彼女を見ればそんなものは吹き飛んだ。