体育館12:25~それぞれのみる景色~

 傷つけた事実は、消えることもない。


 自分勝手な思い込みや感情で、俺は彼女をたくさん傷つけたし、泣かせてしまった。


 だから、こうして会った時には存分に甘やかしてあげたいし、甘えてほしいと思う。


 彼女を傷つけて、傷ついた彼女の泣き顔を見て、俺だって胸が潰れるんじゃないかってくらい苦しくなった。


 もうあんな思いはしたくないし、させたくない。


 笑顔にしてあげたいし、幸せにしてあげたい。


 彼女以外の人には決して思わないよ、こんなこと。


 生まれて初めて抱いたこの感情は少し恥ずかしいけど、これが本音だ。


 彼女の声を聞いて、メールの文面に滲む優しさに触れて。


 そして、会った時にはより一層、そんなふうに強く思う。


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