体育館12:25~それぞれのみる景色~
触れた唇の温度。
風に揺れる彼女の髪。
潮風に紛れて香る、俺の好きな彼女の匂い。
照れてはにかんだような、今まで見た中で一番可愛く見えた彼女の顔。
泳げないこと、不器用なこと。
ピンクが好きなこと。
そして、俺色に染まってくれていること。
笑った顔、照れてる顔、怒った顔、泣いた顔。
俺が好きなのは、彼女の全部。
俺たちそれぞれがみる景色は、きっと違うだろう。
だけど、空と海がお互いしか見ていないように、俺と彼女もそうでありたいと願う。
見ている先が交わり続けますようにと、静かに願う。
どうか、この先ずっと、永遠に―――。
【end】