体育館12:25~それぞれのみる景色~
髪の毛とか、変じゃないかな?
手で前髪をいじりながら、どんどん近づく佐伯先輩との距離にドキドキしてくる。
「やっと着いた~!」
ノスタルジックなお店の前に着き、深呼吸。
小窓からちらっと見えたんだけど、中には佐伯先輩っぽい人が確かにいた。
「……じゃ、俺は帰るよ。亜希、楽しんできな」
「ほんとに帰っちゃうの?」
佐伯先輩にあいさつくらいはしていくんだと思ってたから、ちょっとびっくり。
そう思ってみーくんを見上げると、彼は困ったような顔をしていた。
「俺がいた方がいいわけ?」
「いや、そういうわけじゃないんだけど……」
本音を言うと、佐伯先輩と久しぶりに会うわけだし、邪魔はされたくないよ。
だけど、せっかくここまで来たんだから顔見せるくらいならね。
ああ、でも、2人の時間が少しでも減るのは嫌だなあ。
「亜希、思ってること顔に出過ぎ。きっと佐伯センパイもそう思ってるだろうから俺は帰るよ。……でも」
「わあ、みーくんっ?」