体育館12:25~それぞれのみる景色~

 すると突然、みーくんに頭をわしわしとなでられた。


 いきなりどうしたんだろ?


 さっき整えたのに、またぼさぼさになった髪を急いでなおす。


「もう、みーくん何するのっ」


 睨みながらみーくんの方を見ると、彼は私のことなんか見ていなくて。


 その視線は、カフェの小さな窓に向けられていた。


 何見てるんだろう?


 そう思って私も窓の方を見ようとすると、みーくんに頭をがしりと押さえつけられてそれを阻止された。


 な、なんなんだろう?


 私に見せたくないとか?


「……よし、任務完了。亜希、あとで報告しろよ」


「え、ん? わかった……」


 何を報告するのかはわからないけれど、面白そうに笑ったみーくんがそう言ったから一応返事をした。


 手を振って足早に去っていくみーくんの後ろ姿に手を振り返し、私はお店に向き直った。


「……よし!」


 このドアを開ければ佐伯先輩がいるんだよね……っ!


 ドアノブをぎゅっと握って、扉を開いた。


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