体育館12:25~それぞれのみる景色~

「いらっしゃいませ、おひとり様ですか?」


 扉を開けると、タブリエを身に着けた男の店員さんにすぐさまそう聞かれた。


 うん、先輩が言っていた通り落ち着いた雰囲気で、内装もとっても素敵だ。


 流れているクラッシック音楽もいい感じ。


「え、えっと、待ち合わせ? なんですけれど……」


 その雰囲気に圧倒されちゃってカミカミになったけど、店員さんは優しく笑って席に案内してくれた。


 その先には、この2か月間ずっと会いたかった人、佐伯先輩がいた。


「先輩……っ!」


 思わず走って駆け寄ると、佐伯先輩は私の方を向いて……。


 あれ、睨まれたんですけど。


 ぴたりと止まって佐伯先輩をうかがうように見るとやっぱり不機嫌みたいで、「座れば?」なんて、冷たく言われてしまった。


 ……久しぶりに会ったのに、なんだかショックだ。


 感動の再会、とまでは言わないけど、睨まれるとは思ってなかったからなあ……。


 ちょっと落ち込みながら、向かい側の席に座って先輩を見つめる。


 なんだか先輩、たった2か月の間にすごく変わった気がする。


 服装はモノトーンでまとめられていてすごく似合っているし、髪も少し短くなっていて。


 さらにかっこよさが増したんじゃないかと思う。


 
< 24 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop