体育館12:25~それぞれのみる景色~

 ぺこりとおじぎをしてひっこんだ店員さん。


 それと同時に佐伯先輩も顔を上げた。


「……ごめん。ただの、ヤキモチだから」


「え?」


 初めて、目が合った。


 というか、ヤキモチ?


 ……誰に?


 そう思って佐伯先輩を見つめると、気まずそうに目をそらされた。


「さっきの、七種だっけ。頭なでられてたじゃん」


「ああ! あれですか! あれは勝手にみーくんがっ」


 なんだ、そういうことか。


 佐伯先輩はそれを見て機嫌悪くなったっていうことか。


 ……なんか、愛されてるんだなあって実感。


 恥ずかしい、けど、嬉しい。


「……まあ、七種が勝手にしてきたんだってわかってるけど。なんか、久しぶりに会ったのにごめんな。機嫌悪くなったりして」


「いえ、そんな……。というか、悪いのは私の方で……ん?」


 佐伯先輩と無事仲直りしたところで、メールを受信したらしく私のケータイが震えた。


 後で見ようと思ったけど、佐伯先輩に「見ていいよ」って言われたから、お言葉に甘えてみてみることに。


「な、なにこれ……」


「どうした?」


 メールを開いてみると、ありえない文章がそこにはあって。


 私は思わずため息。


 佐伯先輩に向けて画面を見せると、彼は目を真ん丸に見開いた後、私と同じようにため息をついた。


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