体育館12:25~それぞれのみる景色~
俺が亜希を見つけたのは、2年の6月ごろ。
昼休み、南体育館のギャラリーだった。
亜希の噂は学校で聞き飽きるくらいには聞いていた。
その姿は一度も見たことがなかったけど。
他人の口から聞く亜希の姿を想像しては、機会があったら近づいて遊んでやろうなんて不純なことも考えた。
あわよくば、体の関係に持ち込めたらとか、最低なことも考えてた。
それまでの俺は、俗に言う“遊び人”、“チャラ男”ってヤツで。
そりゃもう、来る者拒まず去る者追わず、だった。
自分の外見は自覚してるし、恭也と同等くらいでモテてるのも知ってた。
そんな俺に群がるのは、派手なギャルとか地味なヤツとか様々で。
自分が気に入った女と遊んでは、捨てる。
その繰り返し。
女だって俺の顔しか見てねえし、求めてるのは身体だけってお互いわかってるから、今までそんな面倒くさいことに巻き込まれることもなかった。
1人の女を好きになったことなんかなかったし、たった1人の女に縛られる人生なんてごめんだと思っていた。