体育館12：25～それぞれのみる景色～

　
　偶然かとも思ったけど、そうじゃないことは直感でわかった。


　頬をピンクに染めながらじっと恭也を見る姿は、恋する乙女の顔ってヤツで。


　こいつもほかの女と同じで俺らを目当てにここに来てたんだと、無性に腹立たしくなった。


　自分勝手に亜希を評価したのは俺だ。


　勝手に気になって幻滅して、本当にバカらしいと思った。


　でも、それでもいつだって目で亜希の存在を追っていた。


　一度も目なんか合わない、恭也だけを映しているその目に、俺だって映りたかった。


　恭也だけを追い続けるその姿に、苛立って。


　ほかの女と同じ、俺らを色目で見る女と変わりないはずだけど。


　無性に気になって仕方なかった。


　矛盾した気持ちに板挟みになって、わけもなくむしゃくしゃして。


　これが一目惚れなのか、ただ単に興味を持っただけなのか。


　嫌悪を感じているのか、そうじゃないのかなんてわからない。


　そんなこと、どうでもよかった。


　自然とその姿に目が行くんだ。


　見れば胸が高鳴った。


　この感情を“好き”以外の言葉で、どう説明すればいいんだって話だ。