体育館12:25~それぞれのみる景色~

 あんだけ無視され続けてたんだ。


 だから、恭也がここを離れる前にこうして俺のとこに来たことが、いまだに信じられない。


「黙ってないで、なんか言えば?」


 イラついた様子の恭也。


 こんなふうに言葉を交わすのも、久しぶりだ。


「……手出すな、とか。いちいちんなこと言われなくても、人のモンに手出す趣味ねえよ」


 俺が2人の間をかき乱しても、こうして結ばれたんだから。


 邪魔なんてしたって、それが無駄になることくらい今の俺は知ってる。


 つーか、大体……。


「お前らの仲を裂こうなんて、思ってなかったよ」


 そりゃ、最初はそう思ってたけど。


 何度も亜希を俺のものにしたいって思ったけど。


 俺にとっては大事なヤツ2人が想い合ってるんだから。


 応援はできなくても諦めようって、いつの頃からか思うようになった。


 亜希を好きな気持ちは薄れないけど、異性としてというより、今は可愛い後輩って感じなのは事実だ。



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