体育館12:25~それぞれのみる景色~
恭也の背中、俺の方を見ずに手だけ振るその姿が今までで1番たくましく見えて。
『またな』の言葉に、思わず笑った。
次に会うときは、お互いどうなってるんだろうな。
次に会うときには、俺の隣りにも守りたいって思える女がいるんだろうか。
恭也が出て行った従業員出入り口のドアが閉まるのを見届け。
そんなことを考えながら、店のシャッターを開けた午前9時。
今日は、めちゃくちゃいい天気だ。
何か良いことがありそうな、そんな予感がする。
……ちなみに、恭也から『亜希に連絡とってよし』とのメールが届いたのは、この日から2か月経ったあとのことで。
どんだけ心狭いんだと思ったのは、ここだけの秘密だ。
ついでに言うと、亜希と呼び捨てにしていることから、少しは俺に対する嫉妬も減ったんだと考えられる。
意外に嫉妬深い恭也のこと、亜希なら優しく包んでくれるだろう。
2人の幸せを、晴天の空に心から願った。
【end】