体育館12:25~それぞれのみる景色~
矛盾し続けて自分自身の感情に抗い続けて。
伝える前に散った俺の初恋は、亜希に対する恋心は、まだまだ完全に消え去ってなんかくれない。
俺の気持ちを佐伯センパイは知っている、と思う。
なんとなくだけど、そう思う。
だって、警戒されてる気がしたから。
だけど、この前の亜希の初デートでのイタズラメール。
あれで、もしかしたら佐伯センパイは安心してるかもしんないな。
言っちゃったもんなあ、俺。
『俺の大事な幼なじみに』とか、『ゆっくり楽しんで~』とか。
いかにも応援してますみたいなこと。
でも、なんだろうなあ。
また矛盾してるようなんだけどさ。
亜希のことは、女の子として好き。
そりゃ、超がつくほど大好きですよ。
だからね、幸せそうに笑ってるのは嬉しいんだよ。
この笑顔を作ってるのが俺じゃなくても、嬉しいって思っちゃうんだよ。