体育館12:25~それぞれのみる景色~
とある男子の秘密の会話。
【本編p473~:恭也と慶、電話での会話】
深夜、枕元で鳴り響いたケータイの着信音に眉をひそめる、ひとりの男子がいた。
ベッドに入り、眠りに落ちる直前のことだったため、その顔は心底不機嫌そうだ。
「こんな時間にかけてくんなよな……」
ぽつり、静かな部屋に響いた声は疲れているような、呆れたような声だった。
真っ暗な部屋の中、着信ランプが点灯して鬱陶しい。
誰からの電話か、なんて、画面を見なくても大体想像できる。
今までも何度かこんなことがあったからだ。
布団にくるまりながらもぞもぞと動きケータイを手に取ってみれば、やはりそこには予想した通りの名前が浮かんでいる。
「はあ……」
大きなため息を吐き出し、電話に出る。