体育館12:25~それぞれのみる景色~
「で、何があったんだよ。眠いからさっさと話せ。手短に」
『お前、聞いたらぜってー目覚めるぞ』
本気で閉じそうな瞼を必死で持ち上げようとしている恭也は、顔を見なくても慶が今どんな顔をしているか、その声から察する。
聞こえた喉を鳴らすような笑い声は、何かいいことがあったときに出る慶の癖とも言える。
電話の向こうでにやけているだろう慶の表情を想像して、恭也はめんどくさそうに寝返りを打つ。
これは話が長くなりそうだと、ぼんやりする思考の中、恭也は適当に相槌うって適当に切ろうなどと考える。
でも、そんな考えは僅か数秒後には、あっさりと消え失せるのだった。
それは、慶が落としたひとつの爆弾が原因だった。