今さら恋なんて…



「“つーが…”あ。あの人、あたしのこと、“つー”って呼んでたんだけど…。“つーが幸せならいい。俺が悪者になればいい”って…」


「…嫌いになって…離れたんじゃないんですね…」

龍哉の低い声に、あたしは震える様に頷いた。


「…大丈夫ですか?司さん。…辛いなら無理に話さなくても…」


「ううん。…もう、5年も経つんだもん…自分の中でも消化したい…」


「司さん…」


「龍哉」


「はい」


「…あたしの昔話、聞いてくれる…?」


そう訊いたあたしに、龍哉はそっと微笑んで、

「はい。俺でよかったら…ぜひ聞かせてください」

って優しい顔で頷いてくれた…。




< 118 / 479 >

この作品をシェア

pagetop