今さら恋なんて…
「……」
つーか、恥ずかしい!この状況!
あたしは何とかブーツの脚を動かすと、シゲハル以外の3人に軽く会釈をすると、カフェの出口を目指した。
「あ、帰っちゃいますよ。佐々木さん、追わなくていいんですか?」
「僕達のことは気にせずに…どうぞ、行ってください」
背後でシゲハルを急かす、余計なお世話極まりない言葉が聞こえてくる。
「……」
振り返っちゃいけない。
振り返ったら、シゲハルの思う壺だ。
木製のバーを押してドアを開けようと思った瞬間、すっと、長い指が伸びてきて、あたしが店の外に出て行かない様に腰を絡め取られた。
「……シゲハル…」
「よぉ、つー。相変わらずモテるな、お前」
「!」
シゲハルの言葉で、カフェに居る間ずっと自分の行動を見られていたと悟ったあたしは、思わず青ざめたまま固まった…。