今さら恋なんて…
お互いSっ気があるあたし達。
シゲハルはSなあたしを手懐けるのが好きらしい…。
手のひらで転がされてる感じが実に悔しい…。
目の前でグラスを磨いていたマスターだったが、
「…もういいや。お腹いっぱい。俺の目の前じゃなくて帰ってからイチャつけよ」
って冷めた目でシゲハルを見ると、しっしっ、と手を払う。
「は?客に向かってその態度は何だよ」
「お前なんか客と思ってねぇよ。つーちゃんはお客様だけど」
「仁、てめぇ」
「だからやめてってばっ」
また取っ組み合いになった2人はあたしは慌てて止める。
「もう、帰るよ、シゲハル」
「……分かったよ」
「ごめんね、マスター」
「いいんだよ。また、たまに顔見せに来てよ」
「うん」
「じゃぁな、仁」
「おう」
「……」
何だ。結局仲いいんじゃん…、と思いながらあたしはシゲハルに連れられてお店を後にした…。