今さら恋なんて…
定休日もスタッフの練習に付き合ったり、講習会もあるから…全くシゲハルに会えてない…。
分かっていたこととはいえ…キツイなぁ…。
「…売り上げがいいことだけが救いかぁ…」
住宅地に近いこともあって、平日も週末もお客様が絶えない。
央輔なんて…指名客が日に日に増えてくから…面白すぎる…。
守本もオープン前は不安しか口にしてなかったけど…お客様の前に出れば、そんな弱気なんて何処吹く風、だし…。
あたしも負けてられない…。
「……」
灰皿にタバコを押し付けて、ふと気付く。
「…ヤバ…お腹減った…何か食べようっと…」
あたしはテーブルに手を伸ばす。
お客様やヘルプスタッフにもらったお菓子がテーブルに広げられているから、何だか食べ放題会場みたいだ。
この店を軌道に乗せて…誰にも文句言わせない立派な店にしてみせる。
シゲハルは社長、だから…あたしはそれくらいの女にならないと釣り合い取れないもんね…。
「……よし」
あたしはもぐもぐとお菓子を摘みながら、改めてそう決意していた…。