今さら恋なんて…



定休日もスタッフの練習に付き合ったり、講習会もあるから…全くシゲハルに会えてない…。


分かっていたこととはいえ…キツイなぁ…。


「…売り上げがいいことだけが救いかぁ…」


住宅地に近いこともあって、平日も週末もお客様が絶えない。


央輔なんて…指名客が日に日に増えてくから…面白すぎる…。


守本もオープン前は不安しか口にしてなかったけど…お客様の前に出れば、そんな弱気なんて何処吹く風、だし…。


あたしも負けてられない…。


「……」

灰皿にタバコを押し付けて、ふと気付く。


「…ヤバ…お腹減った…何か食べようっと…」

あたしはテーブルに手を伸ばす。


お客様やヘルプスタッフにもらったお菓子がテーブルに広げられているから、何だか食べ放題会場みたいだ。


この店を軌道に乗せて…誰にも文句言わせない立派な店にしてみせる。


シゲハルは社長、だから…あたしはそれくらいの女にならないと釣り合い取れないもんね…。


「……よし」

あたしはもぐもぐとお菓子を摘みながら、改めてそう決意していた…。



< 237 / 479 >

この作品をシェア

pagetop