今さら恋なんて…
「……すみません。言い過ぎました。…でも…店長、ホントに旦那さんと会えてないんですね…」
「…そうよ。電話しても出ないし…向こうの家に行ってる時間もなくて…」
「結婚式どころじゃないですね…」
「そーよ。…結婚ってこんなものなのかねー?」
「…そ、そうじゃないと思いますよ…?世間一般的には…」
「だよね?…はぁ、いつになったら一緒に住めるんだろ…」
「無理じゃないですか?今の忙しさじゃ…」
「はぁ?ちょっとはフォローしなさいよ!」
そう文句を言ったあたしの手の中で、ケータイが震え出す。
「あ」
さっきの番号…。
ホントにシゲハルの女だったらどうしよう…。
あたしは怖くなって、とっさに通話ボタンを押した…。
「もしもしっ…」