今さら恋なんて…
quatre ~密かな観察~
『すみません。仕事が長引いてて…お待たせしてしまうかも、です』
なんてメールを受信したのは、シーフォートの玄関横でタクシーを降りた時だった。
今日はアフィニティで飲むことになっていたのだ。
…もう来ちゃったよ…。
そう思いながら、ドアマンの前橋さんに会釈してホテルに入る。
…いつ送ったんだろう、このメール…。
そう思ってしまうほど、フロントの前には人だかりが出来ていた。
「……」
しゃんと伸びた背筋。
微笑みを湛えた口元。
少し離れた位置からだって、龍哉のイケメン具合は十分すぎるほど伝わってくる。
「……」
鑑賞会みたいになっちゃってるなぁ…。
一度フロントを素通りして、ロビーのソファーに座ったあたしは、こっそり龍哉の仕事っぷりを観察することにした。