今さら恋なんて…
「あ、別にそこしか印象に残ってなかったわけじゃないよ?老舗ホテル、って感じの雰囲気で豪華だし綺麗だったし、チャペルも素敵だったし、披露宴会場も綺麗だったし…何しろ右を見ても左を見てもイケメンが…って、あ…」
口を滑らせたあたしは、慌ててコームを持っていた左手で口を塞いだ。
「……司さんは…イケメン好きなんですか?」
仕事場ではないからなのか、龍哉は言葉を選ばずに、ストレートに訊いた。
「……あは。う、うん。“観賞用イケメン”好きよ?」
「……“観賞用”…」
「付き合っちゃうと、ヤキモキするから嫌なのよ。ほら、イケメンってやっぱりモテちゃうからさぁ…。一瞬でも目を離したら、横から掻っ攫われそうで怖いじゃん?」
「へぇ…」
「べ、別に龍哉のことも観賞用にしようと思って声掛けたわけじゃないからね?」
「……」