今さら恋なんて…



モテるだろうなぁ…。


ホテルの従業員、って絶えず人の目に触れる仕事だし…。


かといって取っつきにくい人間じゃ…お客様を不快にさせてしまうかもしれない…。


だから、きっと龍哉の纏っている空気は絶えず柔らかいんだろうな…。


「ねぇ」


「…はい?」

前髪を作り終え、顔に付いてしまった髪を柔らかい毛のブラシで取り除きながら話しかけると、龍哉はゆっくり瞳を開けて、あたしを見つめ返した。


澄んだ薄茶色の瞳…。


ちょっとグレーがかってる様な、不思議な色。


こりゃ、明るいアッシュかマットでカラーしたら、ホントに外人に見えるかも。


「…どうしたんですか?」


「ううん。ちょっと妄想してた」


「も…」




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