今さら恋なんて…
troisieme ~3番目の~
un ~2人の休日~
「司さん。おはようございます」
「……おはよ」
てろっ、としたグレーのVネックニットと、ターコイズ色のスキニーパンツに身を包んだ龍哉に手を振られて、あたしは恥ずかしくなりながらも、ひょい、と手を挙げた。
…うわぁ…。
いい鎖骨してるわぁ…。
脚も細っ。
真っ直ぐで綺麗だわぁ…。
…って、あたしは変態親父か…。
「ヒールで来ちゃって大丈夫なんですか?けっこう歩くと思いますけど…」
龍哉はあたしの足下を覗き込むと、そう訊いた。
「大丈夫。途中で疲れたら…龍哉におぶってもらうから」
「あはは。公衆の面前でおんぶ、に司さんが耐えられるとは思いませんけど…」
「……」
よく分かってる…。
公衆の面前でおんぶされるくらいなら、ぺったんこの靴買うよ…。