今さら恋なんて…
「ありがとうございました」
会計を済ませた龍哉はあたしを振り返ってそう言ってくれる。
「いいえー。こちらこそ来てくれてありがとう」
あたしは軽く手を上げながら、そうお礼を言った。
「来てよかったです。またカラーにし来ますね」
「うん。もっとイケメンにしてあげるからね」
「あはは。期待してます」
龍哉は柔らかい笑顔を浮かべると、あたしを見つめてくれる。
「……」
あたしの視界の隅っこには、レセプションカウンターの向こうでとろけた顔をした莉衣の姿が映る。
「どうかしました?」
「ううん。龍哉、やっぱりイケメンだわ。明日からまた龍哉目当てのお客様が増えるかもよ?」