今さら恋なんて…
「……付き合うことになったんですか?」
「……分かんない」
「……は?」
央輔は眉根を寄せる。
「……分かんない」
「……」
央輔は苦笑い。
「ねぇ、おーちゃん…」
「やめてください。俺に訊くのは」
「えー」
「自分で答え出しましょうよ。オトナなんですから…」
「……」
「どうしても訊いて欲しい、って言うなら…飲みに行きましょう」
央輔はニカッ、と白い歯を見せながら笑う。
央輔もあたしに負けず劣らずお酒が好きだ…。
「……んじゃ、日曜日の営業後に…」
どうせなら休みの前の日がいいと判断したあたしはそう呟いた。
「はい。楽しみにしてます」
央輔はまた気持ちいいくらいにお手本通りの笑顔で笑うと、灰皿を置いて休憩室をあとにしていった…。